EUはフェイスブック、グーグル、ツイッター各社に対し、コロナに関する誤った情報がないか毎月の検査報告を求める

ロンドンにて、CNN Businessニュースの報道。欧州連合は、各ソーシャルメディアがコロナウイルスパンデミックに関する誤った情報を扱っているかについて、毎月報告書を提出するよう求めている。

新たなガイドラインは水曜日に欧州委員会によって発表され、誤報に関する既存のEU行動規範に署名しているフェイスブック、グーグル、ツイッター等を含む複数の企業に適用される。各国の保健担当の指導者たちは数ヶ月の間、ウイルスの起源や誤った治療法、また各国の対応に至るまでの、ウイルスを取り巻く「インフォデミック(※ ウェブ上、とりわけソーシャルメディア上で真偽不明の情報やフェイクニュースが流れ、多くの人が真に受けることでパニック状態となり、社会の動揺が引き起こされること)」について警告してきた。

欧州委員会のジョセップ・ボレル副委員長は記者会見で、「偽りの情報、誤解を招くような情報、デマ、陰謀論、外国人俳優を使ったピンポイントな影響を狙った操作等が見受けられた。その中には、EUとその加盟国に危害を加えることを目的としたものもあり、私たちの民主主義、EUと国家当局の信頼を失墜しようとしている。更に言うなれば、こうした情報は現在のコロナウイルス時代においては人を殺すことすら出来る。」と述べた。

欧州委員会は、2018年に規範に署名したソーシャルメディア各社に対し、「権威あるコンテンツ掲載を促し、ユーザーの意識を向上させ、コロナウイルスについてのフェイクニュースやそれに関連する広告を制限するための行動に関する」詳細データを毎月報告することを求めている。また各ソーシャルメディアが、「フェイクニュースを扱っているユーザーに対し、社のポリシーがきちんと伝わっているのか透明性を高めること」を望んでいる。

行動規範と月次の報告書は、2020年末までにより広範にわたる規制の一部として組み込まれる予定である。

欧州委員会において、価値観と透明性に関する事柄を担当している副委員長ヴィエラ・ジョウロヴァ氏は、記者団に対し、中国のバイトダンス社が所有するティックトックは行動規範に署名したこと、フェイスブック傘下でありながらまだ規範に参加していないワッツアップと協議が行われていることを語った。

欧州委員会はまた、ロシアと中国がコロナウイルスに関する誤った情報を世界中に撒き散らしていると指摘。両国は最近、ヨーロッパとアメリカの当局者から、公式の国営放送局と非公式のソーシャルメディアキャンペーンを組み合わせてコロナウイルスの実情を濁そうとしている点を指摘されている。これは自国のイメージを高め、敵対国を遠ざけ距離を置くことを目的としているという。

メジャーなネット上のプラットフォームは皆、ウイルスに関する誤情報の拡散を食い止めるのに苦戦しており、悪質なコンテンツ掲載に対し非難が寄せられているアカウントを禁止し、事実確認をするようタグを追加するなどの対策を講じている。目下のところは、ユーザーがウイルスに関連する情報を検索、もしくは投稿した際、その情報源が正しいものであると明らかにするよう試みている。

しかしそう簡単に成功はしない。巧みに制作された陰湿な動画である「プランデミック(※新型コロナ偽情報の動画の一つ)」は、ウイルスは各国の主要人物と保健機関によって作られたものだと主張、その動画は削除されるまで何百万回も再生された。

グーグルのユーチューブは最近、議会審問にてイギリスのベテラン議員であるイヴェット・クーパー氏によって非難を受けた。彼女は、コロナウイルスについて誤解を招くような意見をした為にアカウントが削除済みであった陰謀論者である「デビッド・アイク」の名を検索して以来、動画サイトのアルゴリズムがアンチワクチン関連の動画を推奨し始めたことを告げた。

グーグルの欧州・中東・アジア担当者であるマット・ブリティン氏は声明の中で、パンデミックによって人々が「これまで以上に」正確な情報を必要としていると証明された、そして同社は欧州や各国の当局と連携していると述べた。

「我々は行動規範の遵守に取り組み、フェイクニュースを除外し続けていけるよう、新しい創造的な方法を見つけるように尽力している。」とブリティン氏は述べた。

フェイスブックの広報担当者は、「新型コロナウイルス感染症に関する誤報を減らす」という目標を共有しており、フェイクニュースには警告ラベルを追加し、事実検証を担当する他の機関とより幅広い関係を築くなど、拡散防止のための特別な措置を講じていると述べた。

ツイッターの公共政策担当次長シニード・マクスウィーニー氏は声明の中で、同社は「フェイクニュースとの戦いに透明性と理解を高める取り組み」を支持していることを述べ、ツイッターのプログラミング・インターフェースは、研究者がプラットフォーム上で情報がどのように拡散していくのかを調査出来るよう、開かれた状態である点に言及した。

 

【GIU解説】

新型コロナウイルスの感染拡大とともに、ウイルスの発生源、その拡散状況や治療法をめぐり、多くの偽情報が流れている。ソーシャルメディア企業にとっては、自社のプラットフォーム上での偽情報の拡散を防ぐという、長きにわたって取り組んできた課題がまた1つ増えた形となっている。欧州連合(EU)の欧州委員会は10日、Facebook、Google、Twitterなど、同委員会の「Code of Practice on Disinformation」(偽情報に関する行動規範)を自主的に順守するとして署名した企業に対し、要請を発行した。EUはこれらの企業に対し、信頼できるコンテンツの促進、ユーザーの意識向上、新型コロナウイルスに関する偽情報の抑制のために実施している措置について詳しく説明する、月次報告書を提出するよう求めている。EUは2015年にフェイクニュースに対する積極的な取り組みに着手し、2018年末にCode of Practice(行動規範)を作成して、大手ソーシャルメディアプラットフォーム各社に署名を求めた。しかし、この行動規範は、厳しい規制を設けることなく、迅速な身元確認と、偽情報やその他の有害または違法なコンテンツの削除を推進することを目的に作成されている。これがどれだけの効果を果たすかは、厳しい規制なくして不明瞭と言わざるを得ない。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。