二十年債が金利市場に与える影響とは

米財務省は新型コロナウイルス感染症危機において、市場の予想を大幅に上回る約540億ドルの負債を二十年債という形で今後三カ月間以内に発行することを、5月6日に公式発表した。財務省は、二十年債により財務省は超低00金利の長期債を提供できるため、投資家達から強い需要がおこるだろうと考えている。

 

二十年債への期待

今後三ヶ月で財務省による二十年国債の定期的発行が定着すれば、それは米国財務省で今扱われている七番目の長期融資債務となる。CMEグループによるブロッカーテック社の電子取引上での国債銘柄は二、三、五、七、十、三十年債がある。

二十年債取引は他の新たな金融商品と同様、徐々に流動性が高まると見なされるが、市場関係者は、資産運用会社や他の長期投資家の強い関心が背景にあるために、流通市場での取引開始は比較的早くなるのではと予想している。

今回の新規発券は、CMEグループの債券先物取引の流動性を高めると期待されている。この新規の債務の引渡期日は満期15年以上25年未満の丁度真ん中に位置するものとなる。

二十年国債はすでに、すっかり定着した十年国債に次ぎ二番目に多くの成果が期待される銘柄とみなされており、控え目に見積もったとしても債券が大幅に増加する可能性がある。また、新型コロナウイルス感染症危機対策に関連した政府支出を考えると、この伸びはさらに大きくなる可能性がある。

この新たな二十年債は、金利と償却期間(イールドカーブ)の動きから取引を増やすべきだという判断材料を見つけたいと思っている投資家とトレーダーのどちらにも需要があるだろう。近年既に金融派生商品(デリバティブ)の取引量が急増しているが、これもイールドカーブの動きと関連している。債券発行数増加を期待して、ここ数週間でイールドカーブは最も急勾配になっている。

活動水準の伸びの多くは、金利商品の主要エンドユーザーである私的年金基金等を扱う資産運用管理会社によって引き上げられてきた。資産運用管理会社は長期的契約債務に関連するリスク管理が課題であるため、多くの債券先物における貸借対照表(オフバランスシート)の様々な利点に魅力を感じている。

 

より長く

新たな二十年債の発券は、金利市場が長期化に向かっているという一般的なトレンドに合致している。また代替投資(ヘッジファンド)やその他の自己勘定取引を行っているトレーダーに対して、新しい(金利/価格の)差額取引(スプレッド取引)の機会を与えることになる。彼らは、15年前後かけ最も安価で引き渡し出来る財務省長期証券を含め他の関連商品と比較して、二十年債の相対的価値を評価することになる。

提案されている二十年債よりも長いスパンでの市場活動という兆しがすでに見られている。財務省は引き続き三十年債を大量に発行しているし、CMEのウルトラ米国債先物とは受渡しまでの残存期間が少なくとも25年間ある財務省長期証券の銘柄から誕生した商品である。

長期にわたるリスク管理に関心が高まっていることは、ウルトラ米国債の価格形成にもみられる。ウルトラ米国債のCME史上最も急成長している金利商品である。同商品の建玉(※未決済契約総数のこと)は、2020年5月初旬には100万ロット以上にのぼった。

提案されている二十年債によって、現物債のイールドカーブ上にもう一つの発行ポイントが、既存の十年国債と三十年債の間に付け加えられる。これまでの先物取引において、有効性が証明されている利回り曲線が再現されるわけだ。

これにより現物と先物双方の関連商品の流動性が向上し、市場参加者に新たな取引とリスク管理の機会を生み出すと期待されている。

 

【GIU解説】

米財務省は2020年上期に20年物国債の発行を開始する。同省は拡大する財政赤字への対応策を模索しており、その一環として米国債の種類を拡充する。米財務省は「20年債には投資家の旺盛な需要があると確信する。同債発行で財務省の資金調達能力は長期的に強化されるだろう」との声明を公表した。同省はプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)など市場参加者との協議を踏まえて発行の決定を下した。20年債の利回りは、10年債(約1.81%)と30年債(約2.26%)の間になると想定される。日本の20年債利回りは約0.32%、同年限のドイツ債利回りはわずか0.07%。つまり魅力的な商品となり得ます。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。