住宅ローンの緩和を寛容と受けとらないように

ある不穏な報告を耳にした。住宅ローンによって毎月の支払いをしている借り手のうち、金融業者が提供する猶予オプションを選び利用している人々もいる。しかし金融業者達は明らかに、自分達の利益を得る為に先延ばしという猶予を出しているのだ。猶予は支払いができない借り手にとってはメリットである、もしも返済の猶予がなかったなら家を失うことになるのだから。しかしそれは、将来的により大きな額を支払う、ないしは返済期間の延長、またはその両方に繋がるため、支払可能な借り手にとってはまったく利点が無いのだ。

貸金業はこうした混乱を助長している。著者は、国内最大級貸金業会社の代表者と、その金融機関がどのような形でありどのようにこのプログラムが機能するのかについて、メールでやり取りをしたものの彼らの説明は全く役に立たないものだった。彼らは明らかにプログラムを理解していない銀行広報部から出向した人々だろう。

分かりやすい情報こそが急務と感じたため、私は同僚のアラン・レッドストーン氏に頼んで、返済延期をする方が良いのか、延長がもたらす影響を把握するためのスプレッドシートを作成してもらった。スプレッドシートには、住宅ローンの現状と希望する支払猶予期間を入力することが出来る。またシートには、起こり得る三通りの資金回収方法が書かれている。

① 猶予期間か終わった後、月々の支払い額が増加する。新たな支払いにも期限は定められている。

②支払い期間を延長し、開始初期の月々の支払額は変更なし。

③猶予期間終了後の一括払いをする場合、支払額は猶予前の状態に戻ります。

以下のデータはスプレッドシートに基づいて作ったもの。借り手は自分たちの住宅ローンにあった入力ができる。スプレッドシートは、著者のウェブサイト上で無料利用できる。

(リンク参照:https://www.mtgprofessor.com/spreadsheets.htm)

 

(現在の住宅ローン残高10万ドル、金利4%、月々の支払い額527.84ドル、残存期間300ヶ月の場合)

ローン返済延期の方法は三種類

① 月々の支払い額を変えた場合(増加率は%)

② 新たな支払い期間(増加分)

③ 猶予期間終了後の一括払い額面

 

・三ヶ月猶予の場合

①536.28ドル(1.6%増加)

②308ヶ月(八ヶ月増加)

③2122ドル

 

・六ヶ月猶予の場合

①544.90ドル(3.2%増加)

②316ヶ月(十六ヶ月増加)

③3732ドル

 

・九ヶ月猶予の場合

①553.71ドル(4.9%増加)

②325ヶ月(二十五ヶ月増加)

③5358ドル

 

・十二ヶ月猶予の場合

①562.74ドル(6.6%増加)

②333ヶ月(三十三ヶ月増加)

③7001ドル

 

【GIU解説】

コロナ危機の感染拡大に伴う経済の混乱により、アメリカの失業率は最悪のケースで20%にまで達するとの見方も報じられている。このような状況のもとでは、将来的にキャッシュフローの問題に直面するアメリカ国民が急増するおそれがありますが、幸いにも持家がある人の場合は、こうした苦境の克服に利用できる手段がいくつかある。例えば一部の州(および銀行)では、一定の基準を満たした住宅所有者に対して、住宅ローンの返済を一定期間猶予する措置を開始している。これにより、今後数か月は、住宅ローン返済分の数千ドルが、ローン契約者の手元に残ることになる。加えて、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)および米連邦住宅局(FHA)が保証する住宅ローンについては、少なくとも60日間、差し押さえが停止される。

上記記事はデメリットを主たる内容としていますが、ホーム・エクイティ・ローン(HEL)や、クレジットライン型のHEL(HELOC)、ローンの借り換えなども、住宅所有者のキャッシュフロー改善に役立ちます。さらに、市場金利は歴史的な低水準にあるため、これらの手段を使うことで住宅ローンの返済額を減らすことも可能と思われます。確実にメリットもあるので、巧く返済額の減少に繋がるよう計画していただきたいです。

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