中国の外国為替市場、均衡維持

中国の外国為替規制当局である、国家外貨管理局の金曜日の発表によると、中国は第1四半期に海外からの長期投資資金を積極的に誘致しており、人民元(*RMB)の為替レートは比較的安定している。外国為替市場の均衡はほぼほぼ保たれていることを考慮すると、実質的には資本流入がおこった。

急激に広まった新型コロナウイルスは、中国資本市場における海外投資には悪影響を与えなかった。1月から3月までの期間の間に、外国人投資家たちのオンショア(この場合「内-外取引」をさし、金融取引において原則的に取引が行われる国の金融規制や税制が適用される)債券持分は昨年より48%増加しており、投資家達の心理状況は楽観的だ、と中国国家外貨管理局のスポークスマンであるワン・チュンイン氏は言った。

中国国家外貨管理局のデータによると、第1四半期に4915億ドル(*USD)の為替手形を発行し、内4525億ドルを外貨にて決済した。2019年は560億ドル赤字だったのに対し、391億ドルの黒字となった。公式データによると、3月の銀行の外国為替決済の黒字は186億ドルで、2月の142億ドルから増加した。

人民元が主要通貨の一つとされたため為替レートの伸び率が高くなり、資産価値としての信用性や規制や財務のコンプライアンスの緩和に大きな好影響を与えた。中国国家外貨管理局の関係者は、今年も安定した状態をキープすると予想される、と付け加えた。

中国の現在の経常収支は、コロナウイルスによるパンデミックや、海外における需要の減少、貿易黒字額が下がったことなどの影響を受けている。

それでも第1四半期の経常収支は、一定の水準で安定を維持する可能性が高く、「コロナウイルス流行が与える中長期的な影響は少ないかもしれない」とワン氏は述べている。

[*2020年4月17日の為替相場は、1USD/7.07RMB_Morningstar社より]

 

【GIU解説】

新型コロナウイルスによる感染拡大懸念が高まる中で2月3日に中国市場が再開した。

中国政府の出方について二つの考え方があるとされていました。

  1. 暴落までいくとドル建て債務の返済、エネルギー輸入などに大きな影響があるので、ある程度の下落は仕方ないにしても基準値を抑える。
  2. 人民元安になると合衆国に課せられた追加関税を相殺できるなどの効果があるので、これ幸いと大きく通貨安方向に誘導する。合衆国との貿易協定で「通貨切り下げを控える」と合意したのでうかつなことはできなくなったが、新型コロナウイルスの影響なら仕方がないだろうと言い訳もできる。

しかし、3月に入ると米国は新型コロナの拡大により緊急利下げに踏み切ったが、追加利下げを迫られるとの見方が根強かった。中国も利下げ観測はあるものの米国よりは小幅で、足元では米中の金利差拡大が元の買い材料となった。

中国の通貨、人民元が底堅く推移している。新型コロナウイルスの感染拡大による中国経済の減速を警戒し2月は下落したが、3月には徐々に持ち直し、現在もその水準を維持している。新型コロナは中国では新規感染者が減少傾向にある一方、韓国やイタリア、米国など世界で拡大している。米ドル相場がなお弱含みそうなため「当面はこれ以上の元安は見込みにくい」との指摘が出ている。

人民元の減価を抑制するためにとられた対策は、①金融引き締め、② 資本流出規制の強化、③為替レート設定方法の変更、であった。故に金利を引き下げれば資本流出を助長しかねない点には注意が必要と考えます。

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