復興の専門家、「再開しないビジネスもある」と語る

経済が動き出しても、多くの企業は、その新たな環境に苦戦し再開出来ないだろう

コロナウイルスのような危機から企業復興を支援するグループから下記のような意見が出された。

小規模事業者は受ける影響の大きさから、再建よりも設立し直す選択の方が賢明かもしれないと。

「ビジネスを再建することは、倒産よりもはるかに困難である。経済が再び動きだしても、一気に元の状態に戻ることはないだろう」と事業継続専門非営利団体DRIの最高経営責任者であるクロエ・デモロフスキー氏は述べている。

「コロナ禍の渦中で消費方法が変化するにつれ、私たちの購買実態も変わってくる可能性がある。コロナウイルスによるロックダウンの間、食料品の買い物、映画鑑賞、会社の会議、そしてeラーニング教育のほとんどがオンライン方式に移行している。これらの動きは短期的な流行りで終わらない可能性もあり、企業は人々の購買行動の変化に適応していく必要があるでしょう。こうした購買行動における個々の判断というものは、国全体、世界全体へと影響していくものです。現況に応じてどのように企業を成長させるかを検討し挑戦しない企業は、コロナ禍が過ぎ去ったあとの新しい時代において適応できないであろう」とデモロフスキー氏は続けた。

大企業にはしっかりした危機管理計画とリスク管理プログラムがある一方、中小企業は通常はそうではありません。中小企業の経営者は、今後も苦しい状況が続き、そのうちの多くが再建することができません。過去、広範囲における危機が起きた後、中小企業経営者達が再び設立し直すという動きが多く見られましたし、その可能性も視野に入れて企業復興に取り込むべきでしょう。

 

新しい「当たり前

経営危機専門家によると、企業は社員の勤務時間の削減、シフトの調整や大幅変更といった対策を練るべきだという。小売業者は、顧客との距離を更に置き、試食品や試供品を使わない個別包装の食品を提供する必要がある。顧客や従業員を安心させる目的の一環として、例えば、清掃の可視化や頻度の増加、マスク・手袋の着用といった従業員のための物資の確保、また職場環境の温度チェックなどだ。

「二度と今までのようには行われないものもあるかもしれない。会議や大規模なイベントは長い期間キャンセルされるだろうし、参加者も減少するだろう。社会的に距離をとることが如何にコロナ対策としていかに有効かを誰しもが認識するようになった今、共有ワークスペースやオープンオフィスの設計はもう有り得ないかもしれない」とデモロフスキー氏は付言する。

もし学校がこのまま閉校され続け、在宅学習が当たり前となったときには、雇用主は子供がいながら働いている両親の状況を理解し、柔軟に対応する必要がある。

 

【GIU解説】

新型コロナウイルスの封じ込めはまだ緒に就いたばかりです。終息までには予想以上に長期戦を強いられそうな見通しですが。そんな段階でポスト・コロナ・ワールド(新型コロナウイルス終息後の世界)を語るのは早すぎるように思われるかもしれません。

ただ、コロナ対策には想像を超える規模の財源や人的資源が投入され、その後の国民経済に大きな影響を及ぼしかねないのだから、いまから「コロナ後」を考えておかないと、おかしな方向にかじを切ってしまい、取り返しのつかないところまで至ってしまわないとも限りません。

この事態に職を失った非正規労働者、店を休まざるを得なくなった商店主らを所得補償や休業補償で支えなければ、その生活基盤が崩れ、地域経済を支える物販業、サービス業が存続できなくなってしまいます。

今後のコロナ対策(所得補償や休業補償)費用が膨らめば、GDP指数はさらに悪化する。日本国債の暴落が起きてもおかしくない状況です。コロナショックが終われば、世界経済の回復が始まり、日本国債に集まっていたマネーがもっと有利な市場を探して逃げ出していく恐れがあるからです。

財政破綻や円暴落リスクがいよいよ高まっていくのであろう時代に、日本経済を立て直すためのポスト・コロナ成長戦略にも、おそらく大きな発想の転換が必要になると考えられます。

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