ボーイング社、エンブラエル社との42億ドル分の締結取引を中止

航空機製造会社であるエンブラエル社が販売するボーイング737マックス機の機体トラブルと受注キャンセルにより、米大手航空会社であるボーイング社はエンブラエル社との事業締結を見直すことが公にされた。

コロナ禍と737マックスジェット機墜落事故による経済的損失に直面しているボーイング社は、土曜日に、エンブラエル社の商用ジェット機事業の80%、42億分を購入する契約締結を取り止めたと発表。

この撤退によってボーイング社は当面の間、同社の問題に掛かる費用を捻出出来るようになる。実際にコロナ禍の影響により、同社の航空宇宙部門工場の一時閉鎖を余儀なくされたものの、徐々に再稼働を開始している。しかし旅行への需要が急激に減ったため、世界中の航空会社は多数のキャンセルに見舞われている。

ボーイング社はエンブラエル社が契約締結の期限である24日金曜日までに条件を満たすことができなかったため、ブラジルの航空機製造会社であるエンブラエル社との二年にわたる交渉を終えることを明らかにしたが、詳細な内容には言及していない。

エンブラエル社はボーイング社の主張を「不当」であるとし、損害賠償を求めるとしている。

約二年前、ボーイング社はエアバス社と競合するため短距離飛行用小型機をほぼ占有することでエンブラエル社と合意していた。

しかし、ボーイング社は航空業界全体としてボーイング737マックス機の2度に渡る致命的墜落事故のため規制当局による同機体の使用規制がなされたこと、またコロナ禍により世界中を行き来するフライトの大半はキャンセルされ航空業界の経済的影響は甚大であり、自社でも機体注文のキャンセルや延期が増えてきていると説明した。

エンブラエル社の経営も弱体してきている。同社はボーイング社が財務上の理由により締結を破棄することを許容しなかったが、基本取引契約の他の条件にも食い違いがあったとした。

「M.T.A(Material Transfer Agreement物質移動合意書)の枠組みの内で交渉を続けても、問題は解決されないという結論に達した」とエンブラエル社との事業統合を担当するボーイング社幹部マーク・アレン氏は、このように声明の中で述べた。

これに対し、エンブラエル社は「最終的な合意に行き着くためには、もっと時間が必要だとし、契約破棄のために、虚偽の主張を行っている」と抵抗をみせ「ボーイング社は意図的にM.T.A.における取引違反を繰り返しており、ボーイング社の財務状況や機体問題、その他の事業や風評被害も考慮した結果として取引締結に乗り気ではなかったのだろう」と続けた。

他企業も合併・買収がコロナ禍に起因する経済状況によって破棄されている。

未公開株式投資会社(株式を公開していない将来有望な新興企業または再建途上にある企業に出資、または融資して優良企業に育て上げていき、投融資を他に転売して利益を生み出す会社)のサイカモア社は、2月に女性向けファッション小売企業であるヴィクトリアズ・シークレット社の実質的経営権を得ることで合意していたものの、コロナ禍に対する同業界の現状を理由に取引を終了したい旨を発表した。

エンブラエル社は、ボーイング社の年次株主総会が予定されている月曜日に、更なる詳細を投資家達に電話で伝えると述べた。 ボーイング社は第1四半期の業績と今後の展望について水曜日に発表する予定である。

 

【GIU解説】

エンブラエル社はかつてブラジルの国営企業だった。現在も政府が同社の軍用機部門の大口顧客であり、現在でも経営方針に影響力を持つ。

ブラジル政府は、ボーイング社による締結破棄を機に、新たな提携相手として中国企業に注目しているという。

ブラジルのモウラン副大統領は「われわれにはノウハウがあり、中国はそれを必要としている。中国との提携は必然で、続ける必要がある」と述べています。

同社は民営化と多くの金融知識をもつ経営者により大きく成長し、現在は日本資本も投じられている。民営化による驚異的な成長は確かな知的財産であり、モウラン副大統領の発言には説得力があります。

ライオン・エア610便墜落事故とエチオピア航空302便墜落事故に伴う技術的な問題は痛手ではあるものの、技術的問題には必ず原因があり解明されるものです。

自社の技術に自信はあるが、経費を切り詰め・体質改善を迫られている企業にとっては、エンブラエル社との統合はプラスに考えられる要素だと思います。

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